アパート経営で重要なキャッシュフローとは?利益との違いや計算方法を徹底解説
最近は不労所得を得るために、アパート経営を行う方も多いです。
今回は、アパート経営をするうえで欠かせない「キャッシュフロー」とは何か、利益との違いや計算方法など詳しくご紹介していきます。
これからアパート経営をしたいと思っている方必見です。
こちらの記事を参考に、よく検討したうえでアパート経営を進めてください。
Contents
キャッシュフローとは
キャッシュフローとは、入ってきた現金(収入)から出ていく現金(支出)を差し引いた収支を指します。
収入や支出などの現金の流れをあらわした表がキャッシュフロー計算表です。
キャッシュフロー計算表の作成は、上場企業であれば作成が義務付けられています。
キャッシュフロー計算表と似ているものに、貸借対照表があります。
貸借でも現金の流れは確認できますが、より詳細に現金の流れを確認したいのであればキャッシュフロー計算表が必要です。
また、キャッシュフローと同時によく使われる言葉として「キャッシュ・イン・(フロー)」と「キャッシュ・アウト・(フロー)」があります。
収入として手元に入ってくる現金が「キャッシュ・イン・(フロー)」、支出として出ていく現金が「キャッシュ・アウト・(フロー)」です。
こちらの言葉も合わせて知っておくと良いでしょう。
キャッシュフロー計算表の作成は非上場企業には義務付けられていない
先程、キャッシュフロー計算表は上場企業の場合は作成が義務付けられているとご紹介しましたが、非上場企業や個人経営の場合、キャッシュフロー計算表の作成義務はありません。
しかし、キャッシュフロー計算表は、収入や支出といった現金の流れがより詳細に確認できます。
そのため、黒字倒産や経営改善をする場合には現金の流れをしっかりと把握するためにも作成する場合があります。
キャッシュフローと利益の違い
キャッシュフローは収入から支出を差し引いた収支を指すため、利益と同じものと思っている方もいます。
しかし、キャッシュフローと利益は同じものではありません。
キャッシュフローと利益の大きな違いは現金の流れの有無です。
わかりやすい例は商品売買です。
企業などが自社商品を100万円分出荷した時点では、お金のやり取りはありません。
ただ、後日100万円分の振り込みが行われるとわかっているので利益として100万円が計算されます。
このとき、現金の動きはないためキャッシュフローとしては100万円は計算されません。
実際に振り込みが行われたタイミングでキャッシュフローでも100万円が計算されます。
このように、キャッシュフローと利益には現金の流れを追うのか、売上計上するのかで計算されるタイミングが違います。計算されるタイミングが違うため、安定した経営を進めていくためには利益だけを重視していては危険です。
利益があっても、手元に現金がなければ何かを購入したり、経費として使用したりできません。
もちろん利益も大切ですが、安定した経営にはキャッシュフローも重視しておきましょう。
アパート経営においてキャッシュフローを増やすことが大事な理由
アパート経営などにおいて、赤字は経営を続けるうえで当然かなり危険です。
しかし、利益は黒字にもかかわらず、キャッシュフローが低いまたはマイナスといった状態も経営を続けるうえではかなり危険です。
それでは、アパート経営においてキャッシュフローを増やすのがどうして大事なのでしょうか。
その理由は主に以下の4つです。
◆キャッシュフローを増やすことが大事な理由◆
- 安定した経営をするため
- アパート経営の拡大ができる
- アパート経営に関わるさまざまなリスクへの対応
- アパートを売却する際に有利
それぞれ詳しくご説明します。
理由1:安定した経営をするため
キャッシュフローが増えると手元に多くの現金がある状態になります。
アパート経営をしていれば、急な出費が必要になる場合もあります。
その時にいくら利益があっても、現金が手元になければ急な出費に対応できません。
キャッシュフローが増え、手元に現金が多くあれば、急な出費にも対応できるため、安定した経営に繋がります。
利益が黒字にもかかわらず、キャッシュフローがマイナスの状態なのであれば、なぜなのか、何が原因なのか原因を突き止め、改善を行いましょう。
理由2:アパート経営の拡大ができる
1棟目のアパート経営が安定すれば、2棟目、3棟目とアパート経営の拡大も視野に入ってくるでしょう。
そんな時に、キャッシュフローが多くあれば次のアパートの頭金として使用できたり、金額によってはアパートの一括購入ができたりします。
当然、所有するアパートが増えれば得られる利益も増えるためキャッシュフローをより増やせるかも知れません。
キャッシュフローが増えれば、より安定した経営ができるため良いサイクルになるでしょう。
理由3:アパート経営に関わるさまざまなリスクへの対応
アパート経営を行っていると、収入だけではなくさまざまなリスクによる出費がかさむ可能性があります。
以下の記事では、その他のリスクと対応策について詳しく解説しております。アパート経営において知っておくべき情報が満載ですので、ぜひご覧ください。
アパート経営とは?基本的な知識や概要について徹底解説!
◆リスクによる出費◆
- 空室増加による家賃収入の減少
- 築年数などによる賃料低下
- アパートのローン返済
- 経年劣化などによる修繕
- 孤独死など入居者トラブル
- 金利上昇
- 災害による修繕や建て替え
上記の7つ以外にも、アパート経営ではさまざまなリスクが伴い、避けられない場合も多いです。
これらのリスクに遭遇した場合、解決するには現金は必要不可欠です。
そのため、キャッシュフローがマイナス状態でアパート経営を行っており、現金がないのであればリスクが悪化する可能性もあります。
経年劣化等による修繕や孤独死などの入居者トラブルは放置していると、他の入居者が出ていってしまうかも知れません。
そうなると空室増加による家賃収入が減少し、アパートのローン返済が滞るかも知れません。
このように一つのリスクを放置するとさらなるリスクに繋がります。
この悪いループを断ち切るためにも、常にキャッシュフローを増やす経営をする必要があります。
理由4:アパートを売却する際に有利
安定したアパート経営をしていても、何らかの理由でアパートの売却を行う場合もあるでしょう。
その際には査定が行われ、売却価格が提示されます。
査定には立地や築年数などはもちろん、キャッシュフローも確認される場合があります。
キャッシュフローが多い場合は、安定的な経営ができるアパートとして認識されるため査定価格が高く提示される場合が多いです。
逆にキャッシュフローが少ないまたはマイナスの場合、安定的な経営ができない、難しいアパートだと認識されてしまうため、査定価格が低くなるかも知れません。
ストックされたキャッシュの使い道について
ストックされたキャッシュの使い道はさまざまです。
自分の生活費として使ってもいいでしょう。
しかし、アパート経営をするうえでは避けられない出費もあります。
◆アパート経営をするうえでの避けられない出費◆
- 設備の修理や交換
- 金利上昇時の対策
- 空室リスクへの対策
- 税金の支払い
アパート経営をするうえで必要となるキャッシュの使い道を4つご紹介します。
使い道1:設備の修理や交換
まずは、設備の修理や交換です。
入居者がどれだけ丁寧に生活をしていたとしても、経年劣化による設備の修理や交換は避けられません。
契約にもよりますが、アパート設備の修理や交換費用はアパートを所有している方が支払います。
エアコンや給湯器など設備には耐用年数が設定されており、5〜10年程度です。
場合によっては同時期に複数の部屋の設備を修理や交換が必要になる場合もあります。
自分が所有しているアパートの部屋数によっても違いますが、同時に複数の設備を修理・交換できるほどのキャッシュはストックしておくと安心です。
使い道2:金利上昇時の対策
アパート経営を始める際に、アパートを一括購入できる方は少なく、多くの方がローンを組んでアパートを購入するでしょう。
ローンを組んだ際に、固定金利を選んでいれば金利上昇はあまり関係ありませんが変動金利型でローンを組んでいる場合、金利上昇はローン支払い金額の増加に繋がります。
金利が上がる前は普通にローン返済ができても、金利が上がってしまうと返済が難しくなる可能性もあります。
「金利が上がったから返済できない」ではなく、キャッシュをストックして置けば金利上昇による返済額増加にも対応できるでしょう。
使い道3:空室リスクへの対策
アパート等、不動産経営をするうえで避けられないのが空室リスクです。
空室が出ると家賃収入減少に直結し、ローン返済や生活費等さまざまな所に影響が出るでしょう。
できるだけ空室期間を少なくするためには、家賃を下げるなどの対策があります。
しかし、あまり家賃を下げてしまうと入居者がいたとしても今まで通りの家賃収入は見込めなくなります。
この時に、キャッシュのストックがあれば收入確保のために慌てて空室を埋める必要はありません。
今まで通りの家賃で入居者を募集でき、長期的に見ても安定した収入を確保できるでしょう。
使い道4:税金や経費の支払い
アパート経営を行うにはさまざまな税金や経費の支払いが必要です。
◆アパート経営を行ううえでの税金や経費の支払い◆
- 固定資産税
- 都市計画税
- 所得税
- 管理委託費
- 広告宣伝費
- 損害保険料
- 仲介手数料
アパート経営の規模などによっても多少変動しますが、上記の7つは多くの場合必要となる税金や経費です。
これらは1年に1回や毎月の支払いが必要です。
毎月支払いの場合は、月々の家賃収入から支払える範囲の金額かもしれません。
しかし、税金関係など1年に1回の支払いは金額が大きくなるためキャッシュのストックがなければ支払いは厳しいでしょう。
どの支払いも滞納すると、追加請求されたり、アパート経営が滞ったりする可能性があります。
毎月の家賃収入からきちんとストックしておきましょう。
キャッシュフローの計算方法
アパート経営でのキャッシュフローの計算方法には以下のような手順が必要です。
◆アパート経営でのキャッシュフローの計算方法◆
- 入居率を計算する
- 経費を計算する
- キャッシュフローを計算する
それでは順番に詳しくご紹介します。
手順1:入居率を計算する
入居率とは、部屋数に対して入居している部屋の割合です。
入居率の計算方法は(入居している部屋数÷全体の部屋数×100)です。
仮に全体の部屋数が10室のアパートでその内入居している部屋数が7室だった場合、(7÷10×100)で入居率は70%となります。
もし、アパート経営をする前なのであれば入居率は80〜85%程度で計算すると良いでしょう。
アパート経営をしていくうえで、入居率100%にはほぼなりません。
手順2:経費を計算する
次に、アパート経営をするうえでどの程度の経費が必要か計算しましょう。
アパート経営をする際の経費は多少変わる場合も有ります。
◆アパート経営をするうえでのどれくらいの経費が必要か◆
- アパートのローン返済
- 各種税金(固定資産税・都市計画税・所得税など)
- 管理委託費(仲介手数料・広告宣伝費など)
- 各種保険料(地震保険・火災保険・損害保険など)
上記の4つに関しては、ほとんどの場合必要な経費なのでどれくらい掛かるのか計算してみましょう。
手順3:キャッシュフローを計算する
入居率とアパート経営の経費の計算が終われば、いよいよキャッシュフローの計算です。
キャッシュフローの計算方法は(家賃収入×入居率-経費)です。
このときの家賃収入は、入居率100%の金額の1年分になります。
1部屋の家賃が5万円で、10部屋あった場合は月50万円です。
月50万円が1年(12か月)となれば、600万円です。
この家賃収入で、今回は入居率80%、経費200万円と仮定します。
そうするとキャッシュフローは600万円×80%-200万円で280万円となります。
つまり、仮定どおりのアパート経営をすれば年間280万円の現金が手元に残る計算です。
しかし、これは想定できる経費しか引かれていません。
実際にアパート経営をしていると、突然設備の修理や交換が必要になったり、アパート自体の補修が必要になったりするかもしれません。
「これだけキャッシュがあるから大丈夫」ではなく、慎重にもしもに備えて貯蓄はしっかりと行っておきましょう。
キャッシュフローの悪化を防ぐ方策
アパート経営を安定して続けるうえで、キャッシュフローの悪化を防ぐための方策は6つあります。
◆キャッシュフローの悪化を防ぐための方策6つ◆
- アパート購入時の頭金を多く入れる
- ローンは低金利を選ぶ
- ローンの繰り上げ返済を行う
- 家賃を保つ努力をする
- 家賃収入を上げる
- 優良な委託管理会社を選ぶ
それではそれぞれご説明します。
アパート購入時の頭金を多く入れる
アパート経営の際に掛かる経費の中でローンは大きな割合を占めます。
そのため、ローンの返済額を減らせば手元に残るキャッシュも増えます。
ローンの返済額を減らすにはアパート購入時の頭金を多く入れると良いでしょう。
そうすれば借り入れ金額が減るため、ローンの返済額がへり、キャッシュが増えます。
ローンは低金利を選ぶ
こちらも先程の「アパート購入時の頭金を多く入れる」と同じように、ローンの返済金額を減らすための方法です。
借り入れをする銀行によっては金利が違う場合があり、たった0.1%でも金利が低ければローンの返済金額が減ります。
ローンが減ればキャッシュを増やせます。
ローンの繰り上げ返済を行う
ローンは基本的に繰り上げ返済が可能です。
当然ですが、繰り上げ返済を行えば返済金額が減り、キャッシュが増えます。
しかし、ローンを早く完済したいからといって、キャッシュをほとんどローン返済に充てるのは危険です。
もしものときの分のキャッシュはしっかりと手元に残したうえで、余裕がある分だけでローンの繰り上げ返済を行うようにしましょう。
家賃を保つ努力をする
アパートなどの不動産は新築から築年数が経つ程、価値は下がっていきます。
価値が下がるのに伴って、家賃も下げていく場合がほとんどです。
しかし、給湯器やエアコンの設備を最新にしたり壁紙などを新しいものにしたりすると、築年数が経っていても家賃を下げなくても入居者が決まる可能性が高いです。
共有部などもこまめに清掃を行い、清潔にたもつと新築の頃と同じような家賃を維持できます。
設備面や清掃面など家賃を保つ努力を行えば、家賃を下げる必要がなくなりキャッシュフローの維持ができます。
家賃収入を上げる
キャッシュフローを増やす際に、最も簡単なのは家賃収入を増やす方法です。
家賃収入を増やすには、別途アパートを購入し経営するアパートの数を増やしましょう。
もともと10部屋のアパートを持っていて、新たに10部屋のアパートを購入すれば単純に考えて家賃収入は2倍になります。
新たにアパートを購入するとローンの返済金額なども増えてしまいますが、キャッシュフローの金額も増えるでしょう。
優良な委託管理会社を選ぶ
キャッシュフローを増やし、安定したアパート経営を行うには空室を作らない、空室期間を長くしない点が最も重要です。
アパート経営の委託管理会社の中には入居率99%を謳う委託管理会社があります。
なかには根拠のない入居率99%を語っている場合もあります。
口コミなどを参考にしながら、優良で高い入居率を誇る実績を持っている委託管理会社に管理を依頼すれば、空室が少なくキャッシュフローを増やせるでしょう。
アパート経営におけるキャッシュフローの注意点
アパート経営で獲得したキャッシュフローの注意点は、キャッシュフローの使い方です。
多くのキャッシュフローを獲得すると、ついつい生活費などで使ってしまいがちです。
しかし、生活費などに使ってしまうのはかなり危険なので注意してください。
月々の生活費などに多く使ってしまい、アパートの補修や税金の支払いが必要なタイミングで残っていないと慌てるかもしれません。
家賃収入以外にある場合は、そちらから生活費を出すようにして家賃収入は残しておきましょう。
もし家賃収入しかない場合は、毎月必要最低限の決めた生活費のみ使うなどきっちりと決めておきましょう。
不動産投資を成功させるためには
アパート経営を安定して成功させるためには注意しなければならない点がたくさんあります。
キャッシュフローを考えるには、しっかりと不動産投資で収入を得なくてはいけません。
こちらの記事で、不動産投資を行う上での成功率と成功させるためのコツを解説していますのであわせてご覧ください。
アパート経営で重視すべきはキャッシュフロー
いかがでしたか?
今回は、アパート経営をするうえで欠かせない「キャッシュフロー」とは何か、利益との違いや計算方法についてご紹介しました。
アパート経営を安定して続けるためには、利益の確認も大切ですがキャッシュフローは利益よりも重要です。
よりキャッシュフローを増やすためにはどうすれば良いのか、手元にあるキャッシュフローをどのように使うのかしっかりと考えながらアパート経営を行いましょう。
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