不動産投資をめぐる池田さんちのネロ(オス)の話はいよいよ終盤へ。いっぽう、物件購入手続きについての話を聞いた宮下さんちのルンルン(メス)は、満足したのかお腹が空いてきたようで…。
「大家業」=「空室を作らない」こと!
(魚をくわえながら)これで物件の買い方も分かったし、よかったニャン~。
ようしルンちゃん、まずは魚を置いておこうか。さて、ここまで物件の見つけ方や買い方を説明してきたわけだけど、これはほんの始まりに過ぎないんだ。ルンちゃんなら、手に入れた物件はどうしたい?
どうって…、ずーっと長く、家賃収入が入ってくれるとうれしいニャ~。
そうだろうね。一般に株式など他の投資と比べても、不動産は長期投資(投資したものを一生、または5~10年以上保有する)に分類されているそうだ。購入時だけでなく、売却で生じた利益にも税金が発生するのも理由の一つだと言われている。
「それなら持ってたほうが得!」ってやつかニャ~。
そうかもしれない。でも、それでもやっぱり将来物件を可能性を当初から検討しておいたほうがいいって、うちのお父さん(池田さん)は言うんだ。例えば、何らかの理由で急に現金が必要になることがある。
猫の多頭飼いとか?
(無視して)それに、保有している物件以上に投資効率のよい物件が見つかる可能性だってある。さらに、もし社会が不動産バブルのような状態になったら、その時は一度物件を購入時以上の額で売却し、また不動産価格が下がった際に、再度投資に挑戦するという可能性もある。
ニャルほど~。
もし物件を売却する際、投資家から人気があるのは「空室にならない・なりにくい」物件だ。だから、家賃収入を得るためにも、物件を手放すかもしれないという意味でも、オーナーは空室を作らない努力をしなくてはいけない。それが「大家業」の目的なんだ。
投資家は、あなた以上に厳しく物件をチェックしている
それっていったいどうすれば?
ある意味では簡単だよ。こちらが物件を手に入れる時に気にしたことを、投資家はそれ以上に気にすると思えばいいんだ。具体的には、まず建物の修理修繕をマメに行うこと。外壁や設備の修理・交換を定期的に行い、その履歴を残す必要がある。10~15年に一度は大規模修繕も行わないといけない。それがない物件は、買い手からは見向きもされないと思ったほうがいいね。
「この物件、自分なら買う?」って感じだね。
そう! あとは、できるだけ満室の状態を保っておくこと。実際に、売却時に満室の物件とそうでない物件とでは、市場での流動性にハッキリと差が出るそうだ。後者は投資の価値ナシとみなされるんだね。満室の状態を保つには、定期的にリフォーム等を行って物件の魅力をアップさせること、地価や路線価を逐一チェックし、その変動に合わせて家賃を見直すことなど、いろんな手段が考えられるね。
「管理会社に任せる」という選択肢
うわー、一人で考えるのは大変そうだニャー。誰か助けてくれないの?
もちろん費用は発生するけど、管理会社に頼むのも一つの方法だね。
管理会社って?
大家さんの仕事には、清掃や故障・苦情への対応、家賃の徴収・催促なども含まれるわけだけど、ルンちゃんのお父さん(宮下さん)は、これを自分でできそうかな?
うーん、難しそうだニャ…。
ほかに仕事を持っていたりする場合は、そうそうできることじゃないよね。そんな人に代わって、有償で物件の管理を行うのが不動産管理会社なんだ。会社によって、それぞれできることや得意分野は違うけど、「24時間クレーム対応してくれるか」「家賃滞納者にどんな催促を行うか」「空室を作らないため、どんな施策を持っているか」といったポイントを中心に絞り込んでいくと、オーナーの負担は減らせると思うよ。うちのお父さんも、社長が自ら家賃の回収に行くという管理会社を選んだんだって。ちなみにマンション区分所有やディベロッパーから物件を購入する場合は、予め管理会社が決まっていることも多いそうだよ。
「サブリース料」を支払い、安心を手に入れる
ちなみに、通常の管理業務に加え「家賃保証」が加わったものを「サブリース」といい、これを行う業者を「サブリース業者」というんだ。サブリース業者を利用する場合は、業者とオーナーとの間で賃貸借契約をし、サブリース業者が貸主になって各借家人と賃貸契約を結ぶことになる。家賃収入としては、一旦サブリース業者に入った金額からサブリース料(10%程度)を差し引いた額がオーナーに振り込まれることになる。
ややこしいけど、要は安心ってこと?
まぁそうだね。空室分の金額も振り込まれ、家賃に悩まされる心配がなくなるならサブリース料は安いと考えられるかもしれない。ただ、サブリースは定期的に保障金額を見直すケースが多いから注意が必要だよ。
これで最後だニャー!
さて、僕がお父さんから聞いた話はこんなところかな…。ルンちゃん、付き合ってくれてありがとう。
こちらこそ!お父さんへのいいお土産話ができたニャー。
いやいや、僕の話はまだまだ入口に過ぎないよ。うちのお父さんも実例に即した数字のシミュレーションをしたり、勉強を欠かさないみたい。インターネットを使えばいろんな事例が見つかるし。ルンちゃんのお父さんも、聞きたいことがあればウチに電話してきなよ。オーナー同士の交流とか、楽しそうだもんね!
うん、そうするニャー! でね、ネロくん、次は猫が働かずに暮らしていく方法なんだけど…。
そんなの知らない! おなか減ったし、もう帰る~。