アパート経営で家賃滞納が起きる原因とは?知っておくべき家賃滞納住民の対処法
アパート経営にはさまざまなリスクが存在します。その中の一つとして家賃滞納があります。
家賃滞納が発生しないように事前に対処しておくのがベストです。どういった事前対策ができるのかを学び、それでも家賃滞納が発生した場合にはどのような対処をしたらいいのかを知っておきましょう。
Contents
家賃滞納とは?
家賃滞納とは、期日までに家賃の支払いがされない状況のことを言います。最近の賃貸借契約は前払い家賃になっているため、すぐに家賃滞納にはなりません。
借地借家法では立場が弱い賃借人が有利なことも多く、入金がなかったからと言ってすぐに契約を解除して退去してもらうことはできません。退去してもらうためには「信頼関係の破綻」という要件を満たす必要があります。家賃滞納の場合は、一般的に3か月以上滞納が続くと信頼関係が破綻したと認められることが多いです。
また家賃支払いにも時効があり、5年過ぎてしまうと家賃支払いの義務が消滅してしまうため、家賃滞納が発生した場合には早期回収に向けて行動を起こす必要があります。
アパート経営で家賃滞納が起きる原因とは
家賃滞納が発生してしまう原因は色々と考えられます。
例えば、うっかり振込日を忘れてしまっていたり、口座引き落としのタイミングで口座残高不足をしていたりすることがあります。もしくは家賃支払い日に旅行や出張に行ったりも考えられます。それ以外にも病気やケガをして入院してしまうといった不測の事態といったこともあるでしょう。これらの理由であれば連絡がつけばすぐに家賃を支払ってもらい、問題を解決することはできるでしょう。
一番厄介なパターンは家賃滞納者にお金がなくて支払えない場合です。この場合は問題解決するためにお金がかかり、時間も必要になってきます。
アパート経営で家賃滞納されることで起きる問題点
家賃滞納が発生することでアパート経営にどういった問題が生じるのでしょうか。
ローン返済が困難になる
もしアパート経営の資金を借り入れで賄っており、家賃収入からローン返済をしている場合に家賃滞納が発生した際は、貯金など家賃以外の収入からローン返済をしなければいけません。資金繰りが自転車操業であれば、ローン返済が滞ってしまうこともあります。
そうならないためにも、家賃滞納が発生したときにローン返済ができるように自己資金に余裕を持っておく必要があります。
税制上の負担
次に税金面の問題もあります。家賃をもらっていないのだからその分は利益には当たらないと考えがちですが、実は家賃滞納があった場合も未収金として利益の計上をしておく必要があります。
そのため、実際家賃収入は受け取れていなくても利益の計上はしておかなければならないため、税金の負担も増えることになります。
新規入居者を募集できない
最後に新規の募集もできないことも問題です。家賃を支払ってもらえないなら退去してもらって新規で募集をかけたいところですが、家賃滞納で支払いができない状況だとすぐに退去してもらうことが難しい状況です。
そうなるとなかなか退去が決まらずに未収金だけが増え、新規入居者も募集ができないといった負の連鎖につながります。
アパート経営で家賃滞納が起きたときの対処法
家賃滞納が起きてしまった場合には、どのように対処していけばいいのでしょう。
まずやるべきことは電話や書面による支払いの催促をすることです。相手が支払いを忘れてしまっていただけならば、催促をするだけで問題が解決することもあります。
それでも入金がなければ、再度催促するとともになぜ家賃が払えないのか理由を聞いて、いつ頃になったら支払えるのかを確認してみましょう。もしここまでのプロセスを踏んでも入金がなかったり、連絡が一向に取れなかったりする場合は、賃貸借契約をしたときの保証人に連絡をして、支払いの依頼をします。保証人に依頼しても支払いがない場合は賃貸契約の解除と部屋の明け渡しを通知します。最終的には裁判所に明け渡しの申し立てをして、引き渡しがされなかった場合に強制執行ができるようになります。
なお連絡手段は後々言った言わないで揉めないように内容証明郵便で送っておきましょう。
これほどの手続きを経ないと貸主は退去請求できないほど、借地借家法によって借主側は保護されています。
家賃滞納が発生したときにオーナーがやってはいけないこと
家賃滞納が発生したときにオーナーがやっていけないこともあります。
たとえば、入居者に黙ってカギを変えたり、荷物を運び出したりしてはいけません。勝手にこれらの行為をしてしまうと、貸主が器物損壊罪や窃盗罪に問われる可能性があります。また暴力的な言動や脅迫的な言動をとることも避けましょう。これも脅迫罪や暴行罪といった罪が成立してしまう恐れがあります。
自分が罪に問われないようにするためには、たとえ時間をかけても手順を踏んで家賃回収と退去依頼をする必要があります。
アパート経営で家賃滞納のリスクを下げる方法
賃貸滞納のリスクを下げるために事前にできる対策について知っておきましょう。
簡単にできるものは支払方法を変えることです。例えば振込ではなく口座から自動引き落としにしてもらう、クレジットカード払いに対応するといったことを考えてみましょう。いずれの方法も結局のところ入居者の口座残高や支払能力があることが前提にはなりますが、この支払方法であれば振り込みを忘れるといった人的ミスによる家賃滞納は防ぐことができます。
最近ではクレジットカード払い利用者が支払額に応じたポイント還元を受けられることから、家賃を支払う入居者にとってもメリットが大きいです。そのため、クレジットカード払いを決済手段に加えることは、ほかのアパートとの差別化にもつながります。
次に入居する時点での審査です。収入が多い入居者だから安心、収入が少ない入居者だから不安というわけではありません。収入が多い入居者でも、浪費家であれば結果的に家賃滞納を起こす可能性もあります。契約の際には連帯保証人を必須条件にしておくと良いでしょう。
連帯保証人をつけておけば家賃滞納が発生したときに連帯保証人に請求できます。連帯保証人をつけられない方のために家賃保証会社を利用することも一つの方法です。家賃保証会社を利用できれば、連帯保証人がいなくても家賃滞納が発生したときに家賃保証会社から家賃を受け取れます。また家賃保証会社が立て替えた家賃を入居者に請求してくれるため、貸主の負担は軽減されます。一方で利用料が発生するため注意しましょう。
また、一括借り上げやサブリース契約も視野に入れましょう。一括借り上げやサブリース契約であれば不動産会社がアパート経営業務を代行するため、家賃滞納の処理といった問題から解放されます。また空室の部屋分も一定額の家賃を支払ってくれる点はメリットです。家賃滞納の処理といった問題から解放されるのはメリットでもあります。
一方で回収した家賃から手数料が差し引かれるため、自分でアパート経営するよりか収入は少なくなります。また将来的には家賃の減額を求められるといったデメリットもあります。
以下の記事では、家賃滞納を含むアパート経営におけるリスクやその対策方法などを紹介しています。家賃滞納に限らず、リスクに備えたい方はあわせてご覧ください。
アパート経営の家賃滞納に対するよくある質問
家賃滞納が発生した場合にどのくらい時間が経過したら行動を起こせばいいのでしょうか?
初めて家賃滞納をした入居者に対して、しばらく様子をみる家主さんもいるかもしれませんが、早めに行動を起こしましょう。
家賃滞納が発生してすぐに問題解決できないと長期戦になります。解消できるまでは未収家賃も発生していく一方です。早めに催促をするなど行動に移すことが短期間での問題解決につながります。
また、素早い対応が相手に家賃支払いを促すプレッシャーにもなるので先々の再発防止にもつながります。
入居者が行方不明の場合どう対処したらいいですか?
家賃滞納した入居者が現在も部屋に滞在している状況であれば、催促や交渉をすることができますが、行方不明の場合はどうなるのでしょうか。結論から言うと入居者が行方不明であっても強制退去の手続きをとることはできます。
強制退去手続きのために公示送達と呼ばれる方法をとります。公示送達から強制退去までは約8か月かかります。ここまで時間がかかってしまうと家賃滞納による未収金も溜まっていく一方になってしまいます。
そうならないためにも、賃貸借契約書を締結するときに長期間連絡が取れないときの解約条項を明記しておくといいでしょう。
差し押さえでも家賃は回収できますか?
法的な手続きを取れば財産の差し押さえで家賃を回収することもできます。ただし、そもそも差し押さえ可能な財産を所有する居住者が家賃滞納することは珍しいため、通常未納家賃を財産差し押さえで回収することは、難しいかもしれません。
また給与を差し押さえることも出来ますが、差し押さえできる金額が手取りの4分の1までと決まっています。そのため、差し押さえたとしても家賃を全額回収できる保障はありません。さらに給与差し押さえのリスクとして、差し押さえをすると、相手の会社に滞納がある旨の事実が知られてしまいます。そうなると相手が会社を退職してしまい。収入が途絶えてしまうことで、さらに未納家賃回収が困難になる可能性があります。
家賃滞納で確定申告は変わりますか?
前述したように、基本的には家賃滞納が発生して家賃回収ができていなくても未収金として売上の計上をしなければいけません。入居時に敷金を預かっていた場合、最終的には回収できなかった未収家賃を敷金で清算することになります。
ただ敷金の範囲でハウスクリーニングや修繕も賄うため、たいていの場合は未収家賃全額を敷金で清算することはできません。しかし、ここまで見てきたような対処をしても家賃収入が回収できなかった場合には、貸倒損失という形で必要経費に入れられます。貸倒損失として認められるためには事実上の貸倒、法律上の貸倒、形式上の貸倒のいずれかの要件に該当している必要があります。また、アパート経営が事業的規模を満たしていなければ貸倒損失の処理ができないことも知っておきましょう。
また、アパートの部屋数が5室以下であれば、税制上賃貸が事業的規模にないと見なされ、回収ができなくなった家賃を収入計上した年度の必要経費に入れることができます。
家賃滞納が発生した場合には手続きを踏んで解消しなければならない
家賃滞納を発生させないことが一番ですが、万が一発生してしまった場合にはステップを踏みながら解消をしていく必要があります。回収するためには時間と労力、最悪の場合は弁護士に依頼をして裁判を起こすための費用がかかります。
家賃滞納が発生しないように賃貸借契約を締結するとき審査をしっかり行うとともに、信頼できる親族といった連帯保証人をつける、家賃保証会社を利用するといった事前対策をしておきましょう。
また支払方法を変えるだけでも家賃滞納の抑止力になります。まずは家賃滞納が発生しないような仕組みづくりを整えておくと良いでしょう。
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