自分が経営するアパートに自分も住むメリット・デメリット
投資用物件を自身の居住用に購入したり、自分が住んでいた物件を賃貸に出したりすることもあるかもしれません。その際物件をどのように利用するかによって、選べるローンの種類や、税制面の扱いが異なります。投資物件に所有者が居住する時の注意点を把握しないと、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。事前に確認しておきましょう。
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アパート経営で自分も投資用物件に住むことはできる?
結論から言うと、アパート経営をしている物件に所有者自身が住むことは可能です。そもそも居住用物件と投資用の賃貸物件の間に明確な区別はありません。結果として物件を賃貸に出せば投資用の賃貸物件になりますし、居住用に使っていたら居住用物件になります。
そのため、当初は自身の居住用に購入した物件を賃貸に出すケースもありますし、逆に投資目的で購入した物件にオーナー自身が住むこともあるでしょう。結局のところ現状の使用用途によって投資用物件なのか、居住用物件なのかが定義されているだけです。
また法律面に関しても、当初投資用物件として販売されていた物件に、購入者が居住することを制限する決まりはありません。
アパート経営で自分も投資用物件に住むメリット
投資用物件にオーナー自身が住むケースとして代表的なのは、オーナーが居住することを前提とした賃貸併用住宅の利用と、投資物件であるアパートやマンションの1部屋にオーナーの居住用するケースの2点です。
前者の賃貸併用住宅は、オーナーも居住することを前提に設計された投資用物件のため、オーナーが居住の際はメリットが大きいと言われています。メリットのひとつは、賃貸併用住宅の面積50%以上をオーナーの居住空間とすることを条件に住宅ローンを活用できる点です。不動産投資ローンより住宅ローンの方が金利が低いため経済的です。また自己の居住用の部分に関しては住宅ローン控除も認められており、税金面を考えても大きなメリットがあります。また家賃収入によってローンの負担をある程度相殺できます。居住用部分は自分好みに設計できる点も魅力の一つです。
そして賃貸併用住宅は相続税対策としても活用できます。不動産は相続時に2割ほど評価額を下げて課税されます。仮に1000万円の現金と、1000万円相当の不動産のどちらかを相続する場合、現金は1000万円全額課税されますが、1000万円の物件は800万円分しか課税されません。
また物件の規模によっては減税制度である「小規模宅地等の特例」を適用できることも重要です。小規模宅地等の特例が適用された場合には、330㎡以下の居住部分の相続税評価額が最大8割、200㎡賃貸部分が最大5割減額されます。なお条件として相続前から被相続人と生活をともにしていた居住用の宅地であること、被相続人とともに事業用として利用していた事業用地であること、相続開始から相続税の申告期間まで相続した宅地を継続して利用することです。
これらの優遇措置を駆使すれば、他の不動産と比較して相続税を抑えることができます。
以下の記事では、節税対策などのメリットをはじめ、アパート経営の基礎知識を解説しています。節税できる以外にもメリットがありますので、アパート経営に興味がある方はぜひご覧ください。
アパート経営で自分も投資用物件に住むデメリットやリスク
次に投資物件にオーナーが住む場合、比較的デメリットやリスクが大きいケースは、前述のアパートやマンションの部屋にオーナーが居住するケースです。
住宅ローンが使用できない
投資用物件の購入に際して融資を利用する場合、オーナーが居住する場合でも不動産投資用ローンを使うことが一般的です。不動産投資用ローンは前述の住宅ローンと比較すると高金利です。
他にも不動産ローンと投資用ローンは金利以外にも、金融商品としての性質に違いがあります。
住宅ローン返済の原資は主にローン債務者の給料です。一方不動産投資用ローンの返済は主に入居者の家賃収入が用いられます。従って住宅ローンと不動産投資用ローンでは借入審査時の基準も異なります。
また住宅ローンであれば税制上住宅ローン控除が受けられる点も、不動産投資用ローンと大きく異なる点です。
そして最も注意が必要なのは、不動産投資用ローンを利用して購入した投資用物件に融資先に無断でオーナーが居住することです。不動産投資用ローンの契約違反になる可能性もあります。
なぜ契約違反になる恐れがあるのでしょうか。前述した住宅ローンの性質が大きく関わってきます。金融機関は、入居者からの家賃収入を見込んで不動産投資用ローンを貸し付けます。その点から、家賃収入を減らすことに繋がるオーナーの居住は、金融機関にとってローン返済が滞るリスクが高まることを意味するからです。
もし、不動産投資用ローンで購入した物件に住むことを考えているならば事前に金融機関に相談をしてみましょう。
仮に、金融機関に相談をして居住用物件として認められたとしても、不動産投資用ローンから住宅ローンへの借り換えは容易ではありません。住宅ローンのなかには物件の広さに制限がある場合も多く、借り換えが認められないこともあります。また一定面積以下の物件しか住宅ローン控除が使えない点も注意が必要です。最後に、ローンの借り換えができない場合は高い金利で返済を継続していけないことも留意しておきましょう。
また、自己の居住用と偽って住宅ローンを利用することは、詐欺に該当するため決してやってはいけません。発覚したときにローンの一括返済を求められる場合もあります。
減価償却による節税が使えない
賃貸物件には減価償却費による節税効果があります。自己の居住用にしてしまうとこの節税効果も受けられなくなってしまいます。減価償却費は建物の耐用年数に応じて建物の価値を減少させて経費に計上するものです。家賃収入よりも経費が多い場合には赤字になります。不動産所得で赤字になっている場合はほかの所得と損益通算をすることができます。例えば給料所得と損益通算することで払いすぎていた税金が還付されます。
ただ減価償却が認められるのはあくまでも事業用にアパート経営をしている場合のみです。自己の居住用した場合は減価償却が認められないため、結果として節税効果が無くなってしまうことになります。
賃貸併用住宅のデメリット
賃貸併用住宅のデメリットとして立地面の妥協が挙げられます。家賃収入を高める為には、賃貸物件としての需要のある立地を選定することが必要です。家賃収入を優先するなら、自分が住みたいと思った土地でもあきらめなければいけません。
また賃貸併用住宅は、不動産処分の足枷になることがあります。たとえば不動産を別のものに転用するとき、居住用物件であればすぐ行動に移せますが、入居者のいる賃貸併用住宅の場合は入居者との退去交渉が必要になるため、すぐには実行できません。そうこうしている間に転用できなくなってしまったということがないように計画を立てておきましょう。
また賃貸併用住宅は特殊な建物になるため、売却の際一般住宅や通常の投資用物件より需要が低い傾向にあります。居住用と投資用物件と両方の側面を持つ賃貸併用住宅では両方の需要を満たしている方にしか販売ができません。マイホームが欲しい方からしたら賃貸部分が不要になりますし、不動産投資物件が欲しい方からしたら居住用部分が不要になります。別々の居住用物件や不動産投資物件より売却先が見つかりづらい点はリスクとして挙げられます。
しかし居住エリア、賃貸エリアと明確に区別された賃貸併用住宅であれば買い手がつきやすくなります。
賃貸併用物件を建築、購入するときはこれらのデメリットを理解したうえで決定しましょう。
その他のデメリット
入居者との距離感が通常よりも近くなる点も投資用物件に居住するデメリットになることがあります。本来であれば不動産管理会社が対応する問題であっても直接入居者からクレームが入る可能性があるからです。
また現在入居者のいる部屋にオーナーが住む場合、入居者には退去してもらう必要があります。借地借家法では弱い立場である借主を保護しています。基本的には正当事由がなければ入居者を退去させることはできません。自分が部屋に住みたいからというのは正当事由には該当しません。
また投資用物件に自分が住んでしまうと、当然ですがその分家賃収入を得られなくなります。ローンが完済していれば問題ないと思う方もいるかもしれません。しかし注意が必要なのは、ただローンの返済が終わっていたとしても維持管理費や固定資産税、火災保険料の更新などアパート経営には継続的に経費が発生します。自分が住むことで家賃収入がなくなったとしても、物件の維持に支障がないか検討が必要です。
投資用物件に自分も住む場合は注意しよう
投資用物件にオーナー自身も住むことはできます。しかしデメリットやリスク、ハードルが潜んでいることを覚えておくとよいかもしれません。もし物件購入の際自身の居住と投資の両立を考えるのであれば、オーナー居住が前提にある賃貸併用住宅を検討すると良いでしょう。賃貸併用住宅であれば低金利の住宅ローンを組めたり、住宅ローンの返済に家賃収入を充てられることは魅力です。
ただし前述のデメリットを検討したうえで購入を決めることが大切です。
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