アパート経営の回収期間はいつ?目安や早く回収できる方法を徹底解説
アパート経営を始めようとお考えの方にとって、「投資資金はいつごろ回収できるのか」という疑問は切実な問題です。
初期投資の金額が大きいアパート経営では、適切な回収期間を見据えた計画が重要になります。
この記事では、これからアパート経営をお考えの方に向けて、アパート経営の回収期間、その目安や計算方法、さらに回収期間を短くするためのポイントも徹底解説します。
Contents
アパート経営の回収期間の目安
物件の条件や経営の状況によって、アパート経営の回収期間は変わってきます。
一般的な目安を知ることで、より具体的な事業計画を立てることができるでしょう。
回収期間には「単年度の収益が黒字になるまでの期間」と「初期投資の資金が回収できるまでの期間」の2つの視点があります。
回収目安は5〜10年
アパート経営において、投資資金の回収期間は、5〜10年が理想的だと言われています。
初期費用が高額になる投資のため、短期間での回収は現実的ではありません。
短い回収期間を設定してしまうことで、以下のようなリスクが発生します。
- 家賃を相場より高く設定することによる空室リスク
- 修繕費用の節約による物件の早期劣化
- 無理な経営計画によるキャッシュフローの悪化
一方で、15年以上の長期にわたる回収計画を立てると、建物の経年劣化による修繕費用が大幅に増加し、利益を圧迫する可能性があります。
また、5年という期間は不動産売却時の税制面でも重要な意味を持ちます。
所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として約39.63%、5年超の場合は長期譲渡所得として約20.32%の税率が適用されます。
このため、将来の売却も視野に入れた場合、最低でも5年以上の所有を前提とした計画を立てることが賢明です。
ただし、これらの回収期間はあくまでも目安です。
物件の価値や立地による家賃設定、空室率、融資条件など、さまざまな要因によって変動します。
適切な回収期間を設定し、それに基づいた経営計画を立てることが、アパート経営を成功に導くポイントとなります。
関連記事:アパート経営は何年で黒字化できる?黒字化するコツと赤字になる人の特徴を紹介
アパート別の回収期間
アパートの築年数やその状態によって、投資回収にかかる期間は大きく異なります。
新築と中古、それぞれの特徴を理解し、自身の投資プランに合った物件を選択することが重要です。
新築アパート経営の回収期間は?
築年数が浅いことによるメリットは多くありますが、一方で比較的に回収期間は長くなる傾向があります。
初期投資額が大きいものの、以下のような特徴により、安定した経営が期待できます。
- 入居の希望者が多いため、空室になるリスクが低い
- 入居者が入れ替わる時にも大規模なリフォームが不要
- 当面の修繕費がほとんどかからない
ただし、購入価格が中古物件と比べて高額なため、回収期間は必然的に長くなります。
また、周辺の競合物件との兼ね合いから家賃を高く設定することが難しく、利回りは低くなりやすい特徴があります。
中古アパート経営の回収期間は?
中古アパートは、新築と比べて購入価格を抑えられるため、条件が良ければ回収期間を短くすることが可能です。
以下のような特徴があります。
- 購入価格が新築より安価
- 過去の入居率データから空室リスクを予測しやすい
- 立地条件が良ければ高い利回りが期待できる
ただし、築年数が古い物件の場合は注意が必要です。
設備や外観の老朽化を放置すると、立地条件が良くても空室リスクが高まります。
購入価格は安くても、想定以上の修繕費用がかかることで、かえって回収期間が長期化するケースもあります。
そのため、物件選びの際は築年数だけでなく、これまでの維持管理状況もしっかりと確認することが大切です。
アパート経営の回収期間の計算方法の種類
適切な回収期間の設定は、アパート経営を成功に導くためには欠かせないものです。
そのためには、以下で解説する4つの計算方法を理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。
種類①:CCR(Cash on Cash Return)
CCR(自己資金配当率)は、投資効率を示す指標で、自己資金に対する年間キャッシュフローの割合を示します。
計算式は以下の通りです。
CCR(%)=年間収益額 ÷ 自己資金 × 100
CCRが高いほど投資効率が良く、自己資金の回収時期を予測する手がかりになります。
建物の劣化や修繕費増加を考慮し、毎年計算し直すと精度が上がります。
たとえば、3,000万円の物件を例に計算を見てみましょう。
- 購入金額3,000万円・表面利回り5%(年収150万円)・諸経費20万円
- 全額自己資金
- CCR=4.33%、ROI/ROE=4.33%
- 自己資金600万円、借入金2,400万円(月返済80万円)
- CCR=8.33%、ROI/ROE=1.67%
このように、レバレッジを効かせることでCCRを4.33%から8.33%まで向上させることができます。
種類②:PB(Pay Back Period)
PBは資金回収期間を表す指標。
何年で投資した自己資金を回収できるのかを具体的に示します。
計算式は以下の通りです。
PB(年)=不動産購入時に支払った自己資金÷キャッシュフロー
数値が低ければ低いほど回収期間が短く、投資効率が良いとされています。
ただし、不動産投資においては、PBの長短だけで投資効率の良し悪しを判断することはできません。
実際のキャッシュフローと照らし合わせながら、総合的に判断することが大切です。
種類③:ROI(Return On Investment)/ROE(Return On Equity)
ROIとROEは投資収益率(利益率)を表す指標です。
自己資金だけでなく借入金を含めた総投資額に対して、年間でどれほどの利益が得られるかを示します。
計算式は以下の通りです。
ROI・ROE(%)=年間収益額÷総投資額(自己資金+借入金)×100
この値が高いほど、投資の利益率が良いことを意味します。
総合的な投資効率を判断する上で、重要な指標となります。
種類④:IRR(Internal Rate of Return)]
IRRは内部収益率と呼ばれ、投資判断において最も詳細な分析が可能な指標です。
数年後の売却益まで考慮に入れた収益指数で、経費や時間の価値なども含めて計算します。
計算には表計算ソフトを使用する必要があり、算出に手間がかかります。
しかし、他の指標と比べて投資の実態をより正確に把握できるため、重要な判断材料となります。
関連記事:アパート経営の経費率の計算方法は?目安と経費率を下げるポイント
アパート経営の回収期間を短くするには
回収期間を短縮するためには、計画的なアプローチが必要です。
ここでは、回収期間を効果的に短くするための4つの重要なポイントを解説します。
自己資本を減らす
銀行などからの借入れを活用して、自己投資額を減らすことで回収期間を短縮できます。
この方法では、不動産投資特有の「レバレッジ効果」(てこの原理を利用して少ない資金で大きな利益を生み出す効果)を活用します。
具体例として、5,000万円の物件の場合を見てみましょう。
表面利回り5%(年間収入250万円)、年間諸経費10万円と仮定します。
- 全額自己資金の場合:
CCR、ROI・ROEともに4.8% - 自己資金1,000万円+借入金4,000万円の場合:
CCRは14%、ROI・ROEは2.8%
このように、借入れを活用することでCCRを大幅に上げることが可能です。
ただし、ローンの返済負担が発生するため、返済計画は慎重に立てる必要があります。
耐用年数の長い物件を選択する
物件の構造によって、税法上の耐用年数は以下のように異なります。
- 木造:22年
- 軽量鉄骨:27年
- 重量鉄骨:34年
- 鉄筋コンクリート:47年
耐用年数が長い物件は、融資期間を長く設定できるため、毎月の返済額を抑えることができます。
また、万が一の場合でも物件の資産価値が維持されやすく、売却による負債の返済も視野に入れやすくなります。
具体的な構造による耐用年数の違いを見てみましょう。
木造は22年、軽量鉄骨は27年、重量鉄骨は34年、そして鉄筋コンクリートは47年と、構造によって大きく異なります。
例えば、木造と鉄筋コンクリートでは25年もの差があります。
この違いは融資期間にも影響を与え、一般的に耐用年数が長い物件ほど融資期間を長く設定できます。
融資期間が長くなれば毎月の返済額は少なくなり、手元に残るキャッシュフローが増えます。
また、万が一の場合でも、耐用年数が長い物件は売却時の資産価値が保たれやすく、借入金の返済原資としても期待できます。
ただし、耐用年数の長い物件は一般的に建築コストが高くなる傾向があるため、投資計画全体のバランスを考慮して選択する必要があります。
新たな収入源を増やす
家賃収入以外の収益源を確保することで、回収期間を短縮できます。
具体的には以下のような方法があります。
- 駐車場・駐輪場の設置と貸し出し
- 敷地内への自動販売機の設置
- 看板スペースの貸し出し(広告収入)
これらの追加収入源は、入居者の利便性も高めるため、空室対策としても有効です。
家賃収入以外の収益源として、具体的なアイデアを見ていきましょう。
アパートの敷地内に自動販売機を設置すれば、年間を通じて安定した収入が期待できます。
また、駐車場や駐輪場の設置は、入居者の利便性を高めると同時に、追加収入も見込めます。
看板スペースの貸し出しも有効で、アパートの立地が良ければ広告収入という形で安定した収益を確保できます。
特に駐車場や駐輪場の設置は、入居者にとっても魅力的な付加価値となります。
必要な設備を増やすことで空室リスクの軽減にもつながり、一石二鳥の効果が期待できます。
さらに、共用部分の空きスペースを有効活用し、宅配ボックスやコインランドリーの設置も検討できます。
ただし、追加の設備投資は慎重に検討する必要があります。
投資コストと予想収益のバランスを見極め、物件の規模や立地条件に合わせて、適切な追加収入源を選択することが重要です。
空室期間を短くする
安定した家賃収入を得るためには、空室期間を最小限に抑えることが重要です。
以下の対策を継続的に行いましょう。
- 定期的な建物の点検と修繕
- 清潔な外観の維持
- 時代のニーズに合わせたリフォーム
- 入居者の要望への迅速な対応
建物は年々劣化し、入居者のニーズも変化していきます。
これらの変化に対応し続けることで、空室リスクを低減し、安定した収入を確保することができます。
アパート経営を成功に導く、健全な投資回収計画
アパート経営における投資回収期間は、経営の成否を左右する重要な要素です。
一般的な回収期間の目安は5〜10年ですが、これは物件の条件や経営状況によって大きく変動します。
回収期間の設定には、新築・中古それぞれの特性を理解し、適切な物件を選択することが重要です。
また、CCRやPBなど、複数の指標を用いて回収期間を正確に把握することで、より確実な経営計画を立てることができます。
投資回収を早めるためには、レバレッジ効果を活用した資金調達や、耐用年数の長い物件の選定が効果的です。
さらに、複数の収入源を確保し、空室リスクに備えることで、安定した収益基盤を築くことができます。
ただし、これらの取り組みは一度きりではなく、長期的な視点で計画を立て、定期的な見直しを行うことが大切です。
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