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アパート経営者必見!アパートを生前贈与する方法と税率について

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自身の財産を子どもに残したいと考えている方は多いでしょう。財産を引き継ぐ方法は2つあります。

 

一つは亡くなったときに行う相続、もう一つは贈与です。
自分が生きているうちに財産を次の世代に渡したい場合は、基本的には贈与をします。

 

贈与といっても課税方法や使える制度がさまざまあります。
どのように贈与するのがいいのか理解したうえで、必要であれば税理士に相談して贈与しましょう。

 

生前贈与とは

そもそも贈与とは、自分の財産を他人に無償で与える意思表示をして相手がそれを承諾して双方の合意によって成り立つ一種の契約です。契約形態は口頭でも書面でもいずれでも構いません。

そして生前贈与とは、生きている間に自分の財産を人に受け渡すことを言います。生前贈与のメリットはいつでもだれに対しても財産を渡すことができる点です。

 

贈与は一般贈与財産といった、直系尊属以外の親族や他人から贈与を受ける場合と、特例贈与財産といった財産の贈与を受けた年の1月1日現在において、18歳以上の子や孫が父母または祖父母から贈与を受けた場合があります。
ひと言に贈与といっても、住宅取得等資金の贈与を受ける場合の特例、贈与税の配偶者控除、教育資金の一括贈与の非課税制度、結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度といった特例や制度があります。

うまく活用すれば贈与税がかからなかったり、その先の相続をするときにも相続税の節税ができたりします。

 

暦年課税と相続税精算課税

贈与の課税の仕方としては2種類あります。どちらの贈与が有利なのかは状況によって異なります。
まず課税方法は2種類あることを理解し、自分の場合ならどっちのほうがメリットあるのかを考えてみましょう。

 

暦年課税

暦年課税はその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた金額から基礎控除の110万円を差し引きます。その差し引いた金額に対して税率をかけて税額を算出します。

 

一般贈与財産の場合は下記の通りです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

 

特例贈与財産の場合は下記の通りです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

 

仮に6,000万円の贈与を受けた場合に、6,000万円-110万円で5,890万円が課税価格になります。

一般贈与財産であれば5,890万円×55%-400万円=2839.5万円が税額になります。

特例贈与財産であれば5,890万円×55%-640万円=2599.5万円が税額になります。

 

暦年課税の場合、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に暦年課税にかかる贈与によって取得した財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与のときの価額を加算します。

 

また贈与のときに贈与税を支払っていた場合は相続税の金額から贈与税で支払った金額を控除できます。

 

相続時精算課税

暦年課税とは別に相続時精算課税があります。こちらは60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫に対して贈与をするときに選択できます。なお令和4年3月31日以前の贈与は18歳ではなく、20歳以上が要件になります。

 

相続時精算課税制度を利用すると最大で2,500万円までの贈与税が非課税になります。もし2,500万円を超えた場合、その部分に関しては、一律で20%の贈与税が課税されます。

一度相続時精算課税を選択した場合は、選択した年以降はすべてこの制度が適用されることになるため、暦年課税に戻せません。

 

また相続時精算課税を選択する場合には贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

申告に必要な一定の書類としては贈与税の申告書、相続時精算課税選択届出書、受贈者の戸籍謄本または戸籍妙本、戸籍の附票、贈与者の住民票または戸籍の附票です。

 

仮に2,500万円の贈与を受けて相続時精算課税制度を選択した場合は、贈与税はかかりません。6,000万円の贈与を受けた場合は6,000万円-2,500万円=3, 500万円が課税価格になり、20%の贈与税が課税されるため700万円の贈与税がかかります。

 

相続時精算課税は読んで字のごとく、贈与したときは2,500万円まで非課税にするけど、相続が発生したときにはその贈与財産をほかの相続財産と合わせて課税をして、2,500万円を超えて贈与税を支払っている場合には、その金額を相続税額から控除して精算をする方法をいいます。
誰もが相続時精算課税を活用したほうが有利になるわけではないため注意しましょう。

 

アパートを生前贈与する場合どちらの課税がいいのか

アパート経営をしている方が仮に生前贈与する場合には、暦年課税と相続時精算課税とどっちを選択したほうがいいのかが問題になります。

 

一般的にはアパート経営の場合は相続時精算課税を選択したほうがいいでしょう。アパートとその土地を贈与すると、暦年課税の110万円の控除をゆうに超えることになるでしょう。超えた部分に関しては贈与税が発生します。一方で相続時精算課税であれば2,500万円までは贈与税が非課税になります。土地建物の評価額次第ですが、場合によっては非課税で贈与ができることもあります。

 

仮に2,500万円を超えたとしても、超えた部分の20%の課税となります。暦年課税と比較すると贈与税の支払いを抑えられることが多いです。
なお、アパートの評価額の計算は土地と建物に分けて計算がされます。土地に関しては路線価で計算がおこなわれます。路線価が定められていない土地は、固定資産税評価額で計算します。路線価は国税庁のHPにて公開されているため、誰でも簡単に調べられます。

 

建物の評価額は固定資産税評価額になります。
アパートの場合は借地権や借家権の割合に応じて、評価額を下げて計算をおこないます。そのため、時価評価がされる現金などを贈与するよりもアパートという形で贈与を行うほうが納める税金も節税できる効果があります。

 

アパート経営で生前贈与をする方法

生前贈与をする場合には、まず相続との兼ね合いを考える必要があります。

 

税金面のメリットを考えるうえでは税理士に相談するとよいでしょう。場合によっては生前贈与する必要がない、もしくは生前贈与するよりも相続をしたほうがいいといった場合もあります。
税理士に相談したうえで生前贈与をすることになったら、贈与契約書の作成をしましょう。贈与は口頭でも契約が成立する諾成契約です。しかし将来発生する相続や税務調査に備えて書面で契約を交わしておくことをおすすめします。

 

贈与契約書を作成したら、実際に贈与を行います。アパート契約の場合は、所有権を受贈者から贈与者に移す必要があります。よってアパートの登記変更を行います。
贈与による登記変更の手続きには贈与事実を証明する書類が必要になります。よって贈与契約書を事前に交わしておく必要があります。

 

実際に贈与を行った後は、贈与税が発生している場合には贈与税の申告が必要になります。
相続時精算課税を利用してアパートを贈与する場合は前述した必要書類が必要になりますので、期日までに申告ができるようにあらかじめ書類を準備しておきましょう。

 

以下の記事では、アパート経営に関係のある税金など、基本知識について解説しています。申告の流れについても紹介していますので、あわせてご覧ください。

アパート経営とは?基本的な知識や概要について徹底解説!

 

アパートを生前贈与するメリット

アパートを生前贈与するメリットはいくつかあります。

 

まず一つ目が、贈与財産の評価額を引き下げることができる点です。時価総額が同じ財産を贈与する場合、現金であれば時価総額がそのまま贈与財産の評価額になります。これがアパートという形にすると、借地権や借家権の割合に応じて贈与財産の評価額が引き下がります。

 

二つ目に、所得の分散効果です。財産を多く持つ祖父母や親から次の世代に贈与をすることで所得の分散ができます。日本の所得税は累進課税制度になります。たとえばアパート経営をしていて不動産所得が多くある場合は、その所得を所得が低い方に贈与できれば自分の支払う所得税を下げられます。また相続が発生するよりも早くに家賃収入を生み出すアパートを贈与することによって、より多くの財産を子や孫に渡すことができる可能性もあります。

 

三つ目に、財産を特定の人に渡せる点です。相続の場合は相続人が複数いる際、被相続人の財産を相続人で分ける遺産分割が生じます。それぞれがどの財産を相続するのかもめてしまうケースもあります。また生前贈与の場合は世代を飛ばして財産を受け渡せます。たとえば祖父母から孫へ世代を飛ばして贈与することで、相続税の節税につながる場合もあります。

 

アパートの生前贈与のデメリットと注意点

生前贈与はメリットだけでなく、デメリットもあります。

 

まずは負担付贈与に注意が必要な点です。負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負わせることを条件に行う贈与です。
たとえばアパートを建てるときにローンを組んでおり、アパートの贈与する代わりにそのローンも受贈者に負担させる場合をいいます。

 

負担付贈与は贈与財産の時価から債務を差し引いた金額に贈与税がかかります。ここでポイントになるのが評価額の計算が時価になる点です。アパートを生前贈与するメリットは評価額が借地権や借家権に応じて引き下がる点ですが、負担付贈与の場合はその恩恵が受けられなくなります。その結果納める贈与税が高くなってしまいます。

 

次に、受贈者は引き継いだアパートで諸費用がかかる点です。たとえばアパートを贈与するときには、不動産所得税や所有権の移転登記といった費用がかかります。不動産取得税は相続の場合は課税されませんが、贈与では建物の固定資産税評価額の3%課税されます。登記の際にかかる登録免許税は相続の場合は固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与の場合は2%になります。
このように、相続であればかからなかった諸費用が贈与だとかかってしまうので注意が必要です。

 

最後に土地の相続税評価額が高くなる場合がある点にも注意が必要です。
アパートが立っている土地は貸家建付地といい、相続税の計算をするときに自宅などの自用地よりも相続税の評価が引き下がっています。入居者がいるアパートを生前贈与で取得し、受贈者が土地を無償で借りる場合、土地は貸家建付地の扱いになります。しかし贈与後に入居者が入れ替わった場合には貸家建付地ではなく自用地での評価に変わってしまいます。
評価が変わることで相続税の評価額も上がってしまう点に注意しておきましょう。

こちらの記事ではアパート経営の相続手続きや、相続したらやらなければならないことについて詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
アパート経営に関する相続の手続きとは?相続の注意点など徹底解説

アパートを生前贈与する場合は慎重に

今回はアパートの生前贈与についてみていきました。
まず押さえておくべき点として贈与をしたほうがメリットあるのか、相続で資産を受け渡したほうがメリットあるのかを見極めましょう。
この点を押さえておかないと、節税するために行ったはずなのに蓋をあけたら節税効果がなかったということになりかねません。

 

贈与税と相続税はさまざまな特例や制度、控除があります。そのため専門家である税理士に相談をしてそれぞれのメリットとデメリット、どういった制度を活用するのがベストなのかを理解したうえで対策するようにしましょう。

 

もし贈与税の申告が必要な場合は、申告期限までに書類を整えて申告漏れがないように注意しましょう。
生前贈与をうまく活用してアパートを次の世代に引き継ぐことができれば、大きな節税効果を得られるとともに、資産を残してあげることができます。

 

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この記事の監修

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マリモ投資住宅事業本部

不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。 不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。 部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。

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