大家の仕事内容とは?収入・支出についても徹底解説
不動産投資で大家として収入を得たいと考える方は多いものの、具体的な仕事内容や収入についてはよく分からないという声をよく耳にします。
大家の仕事は、建物の維持管理から入居者対応まで多岐にわたります。
本記事では、大家の仕事内容や年収の実態、収入を増やすためのポイントまでを徹底解説します。
アパート経営を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
アパートの大家に向いている人の特徴とは
アパート経営を成功させるためには、大家としての適性が重要になります。
ここでは、アパートの大家に向いている人の特徴について解説していきます。
計画性がある
アパート経営では、月々の収支管理から長期的な修繕計画まで、さまざまな計画を立てる必要があります。
家賃収入から経費や借入金の返済を差し引いた収支を把握し、将来の大規模修繕に備えて計画的に資金を積み立てることも求められます。
そのため、計画性を持って物事を進められる人が大家には向いているといえます。
継続して経営ができる
アパート経営は、一朝一夕に大きな収益を上げることは難しく、長期的な視点で取り組む必要があります。
日々の清掃や点検といった地道な業務を継続的にこなし、入居者からの問い合わせにも丁寧に対応する姿勢が重要です。
短期的な成果を求めるのではなく、継続的に経営に取り組める人が向いています。
先のことを考えて経営を続けられる
建物は年数が経過するにつれて老朽化が進み、修繕や設備の更新が必要になります。
また、周辺環境の変化によって空室率が上がるリスクもあります。
そのため、将来起こりうる事態を想定し、それに備えた対策を講じられる人が大家に向いています。
先を見据えた経営判断ができることが、安定した収益を上げるポイントとなります。
人付き合いが上手い
大家の仕事では、入居者との良好な関係を築くことが重要です。
また、管理会社や不動産会社、工事業者など、さまざまな関係者とコミュニケーションを取る機会が多くあります。
トラブルが発生した際も、冷静に対応して円満な解決を図る必要があります。
関連記事:大家になるには?流れや必要な資金と物件選びのポイントを解説
アパート経営に有利な条件
アパート経営を始める際には、いくつかの条件が揃っているとより成功の可能性が高まります。
ここでは、アパート経営をスタートするうえで有利な条件について詳しく解説します。
既に土地を所有している人
アパート経営を始める際、最も大きな初期投資となるのが土地の購入費用です。
すでに土地を所有している場合は、建物の建築費用のみを考えればよいため、資金計画が立てやすくなります。
副業として始めようとしている人
アパート経営は、初期段階から大きな収益を期待することは難しい場合があります。
本業からの安定した収入があれば、経営が軌道に乗るまでの期間も余裕を持って対応できます。
金銭的に余裕がある人
アパート経営では、建物の修繕費用や空室時の収入減少など、予期せぬ支出やリスクに備える必要があります。
ある程度の資金的な余裕があれば、突発的な支出などにも柔軟に対応できます。
このような条件が揃っていると、より安定したアパート経営が可能になります。
大家の仕事内容とは
アパート経営において、大家の仕事内容は想像以上に幅広いものです。
入居者の募集から建物の管理、さらには収支の管理まで、大家には多くの責任が伴います。 このセクションでは、アパート経営を成功させるために必要な大家の具体的な仕事内容を解説していきます。
投資物件の選定・購入、売却
物件選びは、アパート経営の成否を左右する最も重要な判断の一つです。
まずは、想定する入居者層を明確にすることから始めましょう。
例えば、ファミリー層には静かな環境や学校の近さが、単身者には駅からの距離や交通の利便性が重視されます。
優良物件は数が限られているため、物件を見極める目を持つことが重要です。
物件取得時には金融機関との融資交渉も必要となり、将来の事業拡大を見据えて、日頃から金融機関との良好な関係を築いておくことも大切です。
また、売却の判断も重要な投資戦略の一つです。
不動産は一般的に築25年程度まで価格の下落幅が大きく、その後は緩やかな下落に転じる傾向があります。
売却のタイミングは、物件価格の上昇機会やローン残高、減価償却の残存期間を考慮して判断し、適切な投資利回りが得られる場合は、売却を検討するのも一つの選択肢となります。
入居者募集・賃貸借契約
アパート経営において、入居者の募集は収益を確保するための重要な第一歩です。
空室があると家賃収入が途絶えるため、適切な募集活動が必要です。
入居者募集の際に行う主な業務には、募集条件の設定(家賃や敷金など)、不動産仲介会社との募集方法の検討、広告内容の確認、内覧対応の準備などが含まれます。
契約方法には一般媒介や専任媒介があり、大家自身が直接契約できる場合もありますが、専属専任媒介では不動産会社を通じた契約が必須です。
入居者選定の際には、収入状況や家賃支払能力の確認とともに、トラブルリスクも考慮する必要があります。
これにより、安定した賃貸経営を支える基盤が築けます。
さらに、退去が発生した場合も迅速に募集活動を行い、空室期間をできるだけ短くすることで安定した家賃収入を確保することが重要です。
入居者対応
入居者対応は大きく分けて、設備関連の対応とトラブル対応の2つが中心となります。
また、家賃の入金管理も重要な業務の一つです。
設備関連の対応では、入居者の居室内はもちろん、共用部分の修繕にも迅速な対応が求められます。
例えば、水回りの不具合や廊下の電灯の故障など、入居者の生活に直結する問題には早急な対処が必要です。
トラブル対応としては、騒音、駐車場利用、近隣トラブル、ゴミ出しルールの違反、外国人入居者とのコミュニケーション問題などが多く報告されています。
これらのトラブルは相手のある問題だけに、慎重な対応が必要です。
また、近隣住民からの苦情にも適切に対処することが求められます。
家賃の管理については、現在は振込や引き落としが一般的ですが、滞納が発生した場合は早期対応が重要です。
入金が確認できない場合は速やかに連絡し、支払い確認を行います。
建物管理
アパートの資産価値を維持し、入居者に快適な住環境を提供するため、建物の管理は計画的に行う必要があります。
建物管理は、日常的な維持管理と長期的な修繕計画の2つが中心となります。
日常的な維持管理では、共用部分の清掃や設備の点検が主な業務となります。
管理会社に委託している場合は、日曜・祝日を除く週6日で清掃が行われるのが一般的です。
自主管理の場合も、同様のペースでの維持管理が求められます。
長期的な修繕計画では、10年ごとに大規模修繕工事を実施し、時期や工事内容、資金の準備を計画します。
一棟所有の際は、大家が修繕積立金を準備する必要があります。
また、空室対策として物件の魅力を保つために、必要に応じて室内のリフォーム、設備の更新、共用部分の美観向上を行います。
これらの投資は一時的な経費増となりますが、家賃の増額や空室期間の短縮につながる可能性があります。
退去手続き
入居者から退去の申し出があった場合、スムーズな引き継ぎと次の募集開始に向けた準備が必要です。
退去時の主な業務には、退去日と日割り家賃の確定、立ち会い検査の日程調整、原状回復工事の確認、敷金の精算と返還が含まれます。
原状回復に関するトラブルを防ぐために、入居時の室内を写真で記録し、退去時には立ち会い検査を実施し、不動産会社の立ち会いを依頼することが有効です。
費用負担の判断は、国土交通省のガイドラインに基づくことで入居者の理解を得やすくなります。
なお、原状回復費用は敷金から差し引く形で精算するのが一般的です。
また、空室期間を最小限に抑えるため、原状回復工事は可能な限り短期間で完了させることが重要です。
収支管理・税務申告
アパート経営を適切に行うためには、日々の収支管理と確実な税務申告が重要です。
特に確定申告は大家の重要な業務の一つとなります。
適切な収支管理には、家賃収入や更新料などの収入、経費や税金、修繕費などの経費を正確に記録する必要があります。
これらを会計ソフトで帳簿にまとめることで、確定申告時の負担が軽減されます。
確定申告書の作成には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が便利で、自動計算機能も備わっています。
提出方法は、申告会場や税務署への持参、郵送、e-Taxによる電子申告の3つがあります。
青色申告特別控除65万円を受けるにはe-Taxによる申告が必要なため、導入を検討することをおすすめします。
アパートの大家の年収
国税庁の調査によると、2020年の大家(不動産所得者)の平均所得は540万円となっています。
ただし、この金額は区分マンションから一棟物件まで、すべての不動産所得者を含んだ平均値です。
不動産所得者の所得金額区分は以下の通りとなっています。
所得区分 | 構成比 |
100万円以下 | 0.8% |
100万円超~200万円以下 | 5.3% |
200万円超~300万円以下 | 7.9% |
300万円超~500万円以下 | 17.4% |
500万円超~1,000万円以下 | 29.5% |
1,000万円超~2,000万円以下 | 21.4% |
2,000万円超~5,000万円以下 | 12.7% |
5,000万円超~1億円以下 | 3.3% |
1億円超 | 1.8% |
この表から分かるように、500万円超~1,000万円以下の所得層が最も多く、全体の約30%を占めています。
家賃収入
アパート経営における主な収入源は家賃収入です。
例えば、都内の2階建て8戸のアパートの場合、1室当たり7万円の家賃設定で、年間の家賃収入はおよそ749万円になります。
ただし、これは満室時の金額であり、実際の手取り額は経費や税金を差し引く必要があります。
一般的な経費率は家賃収入の15%程度とされており、この場合の年間手取りは約637万円となります。
ただし、これはあくまでも一例であり、立地や建物の状態、経営方法によって大きく変動します。
家賃収入以外の収入
家賃以外にも、以下のような収入項目があります。
- 礼金(家賃1~2ヶ月分を入居時に受け取り)
- 更新料(2年ごとに家賃1ヶ月分程度)
- 駐車場収入
- 太陽光発電による売電収入
- 自動販売機の設置料
大家さんの収入を増やす4つのポイント
アパート経営では、適切な運営方法を選択することで収入を増やすことが可能です。
ここでは、具体的な収入アップのポイントを解説します。
キャッシュフローを増やす
アパート経営の収益性を高めるには、毎月のキャッシュフロー(実際に手元に残るお金)を増やすことが重要です。
借入金の返済額を適切にコントロールすることがポイントとなります。
例えば、頭金を多めに用意することで月々の返済額を抑えたり、金利の低い融資プランを選択したりすることで、手元に残る資金を増やすことができます。
減価償却費と経費の使い分けをする
減価償却費は実際には現金支出を伴わない経費です。
一方で、修繕費や管理費など実際に支払いが発生する経費もあります。
これらを適切に使い分けることで、税務上のメリットを最大限に活用できます。
建物の維持管理はこまめにする
小さな修繕をこまめに行うことで、大規模な修繕や設備の交換を防ぐことができます。
定期的な点検と適切なメンテナンスは、長期的に見ると大きな費用削減につながります。
管理会社を変更する
管理会社の変更は、収入増加の有効な手段の一つです。
入居者の募集力が高く、空室対策に強い管理会社を選ぶことで、稼働率を向上させることができます。
ただし、管理手数料が家賃収入の5%〜10%程度という相場は踏まえたうえで、サービス内容と手数料のバランスを見極めることが重要です。
アパート経営の支出
大家の収入を正確に把握するには、さまざまな支出項目について理解しておく必要があります。
ここでは、定期的に発生する費用と、必要に応じて発生する費用に分けて解説します。
定期的に発生する費用
以下の費用は、アパート経営において毎月または定期的に発生する主な支出です。
費用項目 | 相場・目安 |
管理委託料 | 家賃収入の5%程度 |
火災保険料 | 年間1万円程度 |
共用部水道光熱費 | 月1万円程度 |
ローン返済額 | 借入条件による |
必要に応じて発生する費用
アパート経営では、定期的な費用以外に状況に応じた追加の費用が発生することがあります。
維持管理には、退去後の原状回復、定期メンテナンス、設備のリフォームなどの費用がかかり、30年間で1戸あたり約200万円が一般的な目安です。
そのため、積立金の準備が必要です。
また、入居者募集時には仲介手数料や広告費用が発生します。
仲介手数料は、国土交通省の規定により家賃1ヶ月分の0.54倍が上限となっています。
広告料は家賃の1~2ヶ月分程度が相場です。
退去が多いほどこれらの費用負担は大きくなるため、長期入居を促す工夫も重要です。
さらに、建て替え時には入居者への立ち退き料や解体費用が必要です。
立ち退き料は家賃の6ヶ月分程度、解体費用は建物の構造や地域によって異なります。
これらの費用は一時的に大きな支出となるため、長期的な資金計画の中で考慮しておく必要があります。
大家として成功するために、適切な準備と管理を
アパート経営において、大家の仕事は多岐にわたります。
物件の選定から入居者対応、建物管理、そして収支管理まで、すべての業務を適切に行うことが経営の安定につながります。
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