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アパート経営を共同名義で始めるときに気をつけたいこととは

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皆さんは不動産投資を始めるときに自分一人のお金で不動産を購入しなければならないと思っているかたもいるでしょう。

 

マイホームでも共同名義で購入できるように投資用の不動産でも共同名義で購入ができます。しかし共同名義にはメリットもありますが、デメリットもあります。

 

安易に一人では資金繰りが厳しいから共同名義にしてしまうと、のちのち思わぬトラブルになりかねません。デメリットを理解したうえで、アパート経営に活かしていきましょう。

 

アパート経営は共同名義でもできるのか

アパート経営は共同名義でもできます。たとえば夫婦の共同名義で投資用の不動産を購入できますし、親が所有していた不動産を兄弟で相続して、アパート経営を始めるといったケースがあります。

 

そもそも共同名義とは、2人以上が出資して、その割合に応じた持ち分によって不動産の登記を行うことを言います。相続の場合、出資はないので、遺産分割協議で決まった持ち分で所有することになります。

 

共同名義になったアパートは共同名義者の持ち分に応じて不動産登記をする必要があります。そしてその登記された持ち分に応じて、収入や経費、最終的に手元に残る所得を分配することになります。

 

共同名義でアパート経営を行うメリット

それでは共同名義でアパート経営を行うメリットは何があるのかについて解説していきます。

 

メリット①収入を合算するため融資金額が多くなる

一番のメリットは収入を合算することで借り入れできる金額、いわゆる融資の受けられる金額が多くなる点です。

 

自己資金がなければ、不足する分は金融機関などから借り入れをする必要があります。借り入れは基本的に収入やほかのローンがないかなどの審査によって融資をうけられるのか、いくらまで融資をうけられるのか、融資する場合の金利を何パーセントに設定して融資するのかが判定されます。収入が多ければその分、融資を受けやすくなりますし、融資を受けられる金額も増やせる可能性があります。融資が受けられる金額が多くなれば、それだけ購入できる不動産の選択肢が増えます。融資の審査基準については借り入れ先によって異なります。

 

メリット②管理業務を分担できる

アパート経営をするには日ごろの管理業務が伴います。一人であればその管理業務も一人でおこなう必要がありますが、共同名義であれば役割分担ができます。

 

たとえば日中の問い合わせや清掃は日中に時間がある人が対応し、日中ではなくてもできる不動産の帳簿づけは別の人が対応するといったことも可能です。

 

またアパート経営するうえで修繕工事や入居者のトラブルといったことは避けて通れません。その際の意思決定するときにも共同名義者同士で協議をして対応を決めることができます。経営判断に迷ったときには相談できる相手がいるのも共同名義のメリットといえるでしょう。

 

メリット③ミスや不具合に気付ける

一人だと忙しくて手が回らずに見過ごしてしまうミスや不具合も複数人で管理することで気づけます。たとえば日ごろの帳簿づけの作業も一人で入力していると入力漏れに気づきにくいですが、入力後に共同名義者にチェックしてもらうことで入力漏れや入力間違えに気づけるでしょう。

 

共同名義でアパート経営を行うデメリット

ここまでメリットについて解説してきましたが、もちろんデメリットもあります。自分一人であれば即断即決で決められることも複数人で所有していることでなにかあるたびに協議をおこない、共同名義者の同意を得たうえで進めていく必要があります。そうなると物事を進めるにも時間がかかってしまいます。そのためメリットとデメリットを比較したうえで共同名義のアパート経営をするのかどうかを判断しましょう。

 

デメリット①意見の食い違いが起こる

意見の食い違いが起こるケースとしては、大規模修繕のときです。大規模修繕には多額の金額がかかるため、どのタイミングでおこなうのか、その資金繰りはどうするのかなどの問題が生じます。

 

共同名義であればこのあたりも協議をして決める必要があります。片方はすぐにでも修繕をしたいが、もう片方は資金がないから修繕を先伸ばしにしたいといったことが考えられます。協議がまとまらないと大規模修繕に着手できないため、早急に修繕が必要なのにできないといったことになりかねません。その判断が遅いことでもしかしたら入居者に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

 

また大規模修繕の内容が資本的支出として減価償却の処理が必要な場合は、誰が何割費用負担をしたかに応じて減価償却の計算をしなければいけません。

 

デメリット②経理業務や確定申告などが煩雑になる

共同名義の場合は、持ち分に応じて家賃や更新料、礼金といった収入はもちろん、アパート経営をするうえでかかった固定資産税や損害保険料、地代家賃や消耗品といった経費を按分して確定申告をする必要があります

 

たとえば家賃が入ってくる口座や、かかる経費の引き落とし口座が一つの口座にまとまっていたらさほど経理処理は煩雑ではありません。しかしこれがたとえば固定資産税や損害保険料といった経費の支払いは妻の口座から、家賃収入は夫の口座に入金があるとなると、それぞれの口座取引を帳簿につけていかなければならず、経理処理をしなければいけません。そうなると経理処理が煩雑になってしまいます。

 

また減価償却の計算も持ち分で計算する必要があるため、その計算も煩雑になってしまいます。共同名義の場合は毎月家賃収入やかかった経費を持ち分に応じて計算をして帳簿を作るよりかは、まずは按分計算をせずに帳簿を作成し、最終的に出来上がった帳簿をもとに持ち分比率に応じて家賃収入やかかった経費を按分計算して決算書を作成したほうがスムーズにできます。問題点としては、帳簿づけをしているかたが帳簿を完成させてくれないと、共同名義者は確定申告を終わらすことができない点です。

 

以下の記事では、確定申告の手順や注意点について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

 

デメリット③アパートの所有権が複雑になる

最初は2人での共同名義であったアパートでも、どちらか一方が亡くなってしまった場合には相続が発生します。どのように相続をするかにもよりますが、相続の仕方によってはアパートの持分がさらに複数人に分かれてしまいます。相続であれば身内なのでまだ話が通じるかもしれませんが、相続以外の何らかの事情によって不動産の持ち分を手放さなければいけなくなった場合には、見ず知らずの第三者が持ち分を所有することになります。

 

所有権が複雑になりすぎると、売却の手続きはもちろん修繕の協議なども意見がまとまらなくなってしまう恐れがあります。

 

アパート経営を共同名義にすることで起こり得るトラブル

アパート経営を共同名義にすることで単独名義では発生しないトラブルもでてきます。理解のあるかたと共同名義になっていたとしても、将来的にはトラブルのもとになる可能性があります。どのようなトラブルが考えられるのかを紹介していきます。

 

経営方針において対立が生じる

当初の購入のときには共同名義者同士で何事もなかったとしても、将来的には経営方針の話がうまくいかずに対立してしまうことも珍しくありません。たとえば大規模修繕をするのかしないのか、将来的には片方は不動産の売却を検討しているが、もう片方は賃貸経営を継続したいなどさまざまな場面で経営方針の相違が発生します。その時に話し合いで解決ができれば、問題ありませんが解決できなければ裁判をするといった大事にもなってきます。そして対立が深まれば深まるほど身動きが取れずに、思わぬ損失を被ってしまう恐れがあります。

 

賃料を独占される

不動産が共同名義になっていたとしても、不動産の賃料は持分に応じて入金がされるわけではありません。不動産会社の仲介が入っている場合は、指定した口座に毎月賃料が入金されます。最悪の場合、その口座の通帳やキャッシュカードを握っている名義人が賃料を独占してしまうこともあるでしょう。その場合はその者に対して、自分の持ち分に応じた収入を請求できます。この権利を不当利得返還請求権といい、裁判所に訴えを提起して認められれば、過去10年間にさかのぼって独占者から賃料の返還を受けられます。ただしこういったことが起きてしまうと、その後共同名義で不動産を所有していくことは難しいでしょうから自分の持ち分を第三者に売却するなり、弁護士に依頼をしてその不動産を売却するといったことを考える必要があります。

 

管理業務の分担が一方に偏る

アパート経営の管理業務にはさまざまなものが存在します。

 

たとえばアパート入居者の募集や審査、家賃の回収、入居者のトラブル対応、確定申告のための経理業務といったものがあります。共有者同士で業務負担が一定になるように分担できれば問題はないのでしょうが、それぞれお勤めだったり、家庭の事情だったり、一定の割合になるように業務を分担するのは難しいケースもあります。そのときにお互い折り合いがつけば問題ありませんが、折り合いがつかずに不満が募ってしまうとのちのちトラブルになります。

 

もし管理業務の分担により問題が発生しそうな場合は不動産会社に管理業務を委託する、日々の帳簿づけや確定申告は税理士にお願いするといった方法で解消できます。自分たちで解決できない問題は専門家を頼ることでお互いストレスなく、アパート経営に専念することができます。

 

配偶者や子どもなどが巻き込まれる

アパート経営を始めた当初の共同名義者同士ではトラブルがなかったとしても、その共同名義者のいずれかが亡くなって相続が発生した場合にはそのアパートを相続することになった配偶者や子どもが否応なくアパート経営に巻き込まれることになります。

 

たとえば相続で引き継いだアパートを売却したいと思っても共同名義者の同意が得られなければ売却ができません。こういった将来的なトラブルを避けるためにも生前のうちから配偶者や子どもにアパート経営について詳細を伝えておくことが大切です。また最初からアパート経営に携わりたくないという意思があるならば、相続のときにアパート経営に理解があるかたに相続できるように遺言書をまとめておくといったことでトラブルを避けられます。

 

共同名義でのアパート経営を解消するには

なにか諸事情が発生した、紹介したようなトラブルが発生したので共同名義を解消したいとなった場合には共同名義を解消することもできます。どういった事情で解消するかによって方法が異なりますので、どのような解消方法があるのかを紹介していきます。

 

共同名義全員の合意をとって不動産を売却する

共同名義人全員が合意のうえで不動産を売却するケースです。

 

たとえば相続によってアパートを取得したが、誰もアパート経営を引き継ぐつもりがなければ、アパートを売却して現金化してしまったほうが分割も簡単にできます。共同名義人の全員が合意をしているのであれば不動産を売却して、売却した利益は今までの持ち分で按分して分けるといった方法があります。

 

不動産で所有をしていると将来的に所有権が複雑になりすぎて売却したくても売却できなくなることもあります。それであれば売却できるタイミングで売却をしてしまって、それを原資に新たにアパートを購入してアパート経営を続けてもいいかもしれません。

 

ほかの名義人に持ち分の買い取りを依頼する

自分の持分をほかの共同名義人に買い取ってもらう方法があります。自分の持ち分、いわゆる所有権には物の使用権、収益権、処分権があります。そのため自分の持ち分に関してはどのように処分するかは自由に決められるため、ほかの共同名義者の承諾を得る必要はありません。ただしこのケースは共同名義者がその持分を買い取れるだけの資金がなければいけません。

 

また買い取り以外の方法として自分の持ち分を共同名義人に贈与することも可能です。持ち分を譲渡した場合には譲渡所得税がかかりますし、贈与をした場合には贈与税の申告が必要になりますので注意しましょう。

 

ほかの名義人の持ち分を買い取る

ほかの共同名義人に持ち分の買い取り依頼することもできれば、共同名義人の持ち分を自ら買い取ることもできます。相手がなんらかの事情で不動産持ち分を売却したいと考えていた場合には、見ず知らずの第三者に売却されて、のちのちトラブルになるよりかは自分で持ち分を買い取ってしまったほうがいいかもしれません。単独名義にできれば、意思決定も自分一人でできるようになります。

 

自分の持ち分を第三者に売却する

もし共同名義人に対して買い取りの依頼をしても、買い取ってもらえない場合は第三者に売却することも検討しましょう。自分の持ち分の範囲であれば、その持ち分を自由に処分することができるので共同名義者の同意を取る必要はありません。そのため、時間をかけずに売却の手続きを進めていくことができます。

 

基本的には共同持ち分を専門に扱っている業者に売却することになります。共同持ち分を買い取った業者は、買い取った不動産の持ち分を整理したうえで市場に売り出すことで利益を上げます。不動産の権利関係はすぐに解消できる問題ではなく、数年単位でおこなうことになります。そのため、業者は通常の市場価格よりかは安価で買い取ります。

 

売却する側も持ち分があるがゆえにトラブルになっているから現金化したいかたや、今すぐにでも現金化したい事情を抱えているでしょうから、通常の市場価格よりかは安価での買い取りになるケースが多いです。

 

もし売却に時間がかかってもいいのであれば共同名義人に交渉をして売却をしたほうが高値で売却ができます。

 

共有物分割請求訴訟を起こす

共同名義者と話し合いがまとまらない場合は、裁判をして強制的に共有状態を解消して解決する手段もあります。裁判所の決定には強制力があるため、ほかの共同名義者の意見にかかわらず、共有名義を解消できます。デメリットとしては決定された内容が必ずしも納得のいく内容になるとは限らない点です。

 

また訴訟を起こすための弁護士費用もかかってきます。ほかの手段と比較すると強引な手段かつ裁判手続きに時間がかかる場合もあるため、話がまとまらずにこじれて収拾がつかない場合の最終手段として考えておきましょう。

 

共同名義でのアパート経営を行う際のポイント

共同名義でアパート経営を行う際のポイントは持ち分についてあらかじめ共同名義者とよく話し合って決めることです。当初の共同名義者同士では合意のうえでやったことであっても、のちのちトラブルになりかねません。

 

また将来的なことを考えるとご家族にも誰と共同名義になっているのかなどは情報共有をしておくといいでしょう。

 

ポイント①持ち分は出資する金額の比率で決まる

共同名義の場合の持ち分は出資した金額の比率によって決まります。出資比率に応じて持ち分を分けて不動産登記を行います。そして登記された持ち分で収入やかかった経費も按分をして分配することになります。共同名義で購入する際は、誰がどのくらい出資するのかをあらかじめ話あったうえで決める必要があります

 

また大規模修繕をして資本的支出をした際にも出資比率に応じて減価償却の計算処理をする必要があります

 

ポイント②共同名義人が経営から離脱することがある

最初は合意のうえであっても、それぞれ事情があって共同名義から外れて、経営から離脱する可能性があります。もしそうなったときに自身で買い取るだけの資金を準備するなり、相手方に買い取ってもらえるように準備しておいてもらうなどの対策が必要になります。穏便に話が進めば問題ありませんが、もし持ち分が見知らぬ第三者に移ってしまったり、所有権が複雑になってしまったりすると売却をしたくてもできないこともあります。思い描いていたアパート経営ができなくなってしまう恐れがあるため、もしそういったトラブルを避けたければ単独名義で買える物件を検討しましょう

 

共同名義でアパート経営するには

アパート経営は必ずしも単独名義でやらなければならないわけではありません。共同名義にすることで融資を受けられる金額が増えて、当初は購入できそうになかった投資用不動産でも購入ができる可能性があります。選択肢が増えることによって思い描いているアパート経営を実現できるのであれば一つの方法として共同名義を検討してみるといいでしょう。

 

ただし安易に共同名義にしてしまうと、のちのちのトラブルの原因にもなりかねません。将来トラブルにならないようにするためにも、共同名義にする場合はよく話し合ったうえで決めましょう。

 

また共同名義者だけではなく、将来その不動産の持ち分を取得することになりうるご家族にも話をしておくことが大切です。

 

家族がその不動産を取得したくない場合には事前に共同名義者にその情報を共有しておき、その時に持ち分を買い取ってもらう、もしくはその時は合意のもと不動産を売却するといった対策を講じておくとよいでしょう。

 

せっかく取得した不動産が負の遺産にならないようにするためにも、共同名義でアパート経営をするときには注意が必要です。

 

株式会社マリモでは、長期に渡って安定したアパート経営をご提案するための、愛され続けるアパート造りを目指しております。
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この記事の監修

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マリモ投資住宅事業本部

不動産事業を50年以上続けてきたマリモが、お客様目線でお役に立つ情報をお届けしています。 不動産投資初心者の方に向けての基礎知識から、経験者やオーナー様向けのお役立ち情報まで、幅広い情報の発信を心がけています。 部内の資格保有者(宅地建物取引士、一級建築士、一級施工管理技士、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者など)が記事を監修し、正しく新鮮な情報提供を心がけています。

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